従来のお客様のご紹介でAcustik-Lab Stella ElegansのPPCというネットワークがノイズが出るとお預かりしました。
聞くところによると当時¥2,680,000-もした高級機らしい、USEDで購入し6ヶ月目ぐらいでノイズが発生してとても聴ける状態ではなくShopに相談したらメーカーも無くなり修理不可能と言われ輸入商社にも問い合わせたが修理不可能との事で悩んでいたらしい。
私は初めて聞く商品だったのでデータをインターネットで検索しても当時メーカーと輸入商社が発表したカタログデータしか出てこない。
図面か修理記録が有れば助かるなと外国語も含めて検索しても手掛かりなしで今後の対策はどうするか頭が痛くなった。
検索して分かった事はとても素晴らしいBWT方式20cmの平面型ツイーターと22cmのダブルウーハーを150Hzクロスしているだけ。
取り合えず確認のためにツーター側に中華デジアンプとテスト用フルレンジスピーカーを接続して音出して2時間ぐらい聴いたがノイズが出ない、更にローカットしたような音もしない。
音出し中に間違ってPPCの電源を切ってしまったがそれでも音が出ているのに驚き一つ理解が進んだ。
ウーハー側に接続直し聞いたら相当緩やかなハイカットカーブの音が出て来た、同時にガサガサ・ブチブチ・ジーとノイズも出ている。
そのまま10分ぐらいノイズを聞いていたらキューーとノイズが増えてきた、デカップリングコンデンサーとトランジスタを疑い、やはり回路図が欲しいと仕事場と自宅に帰ってからも検索語を変えながら長時間検索したが「売った」「買った」とカタログデータだけでガッカリ。
ノイズの音から電源部ではないと判断し付いているROE社製コンデンサーを調べたら(2200uF/63V Vishay ROE EYH SNAP IN 105’C kondensator elektrolityczny aluminiow)とポーランドのサイトが見つかったが必要なコンデンサーが揃わなく実際製造しているVishayのサイトで調べるとVishay Roederstein GmbHで製造しているようだ。
Vishay Roederstein GmbHの販売店を探しても見つからずいつも世界各国の部品を調達しているRScomponentsからVishayのコンデンサーを購入することにした。
次はトランジスタの検索だが殆どはBC BF型番で頭が痛い。
お客様にオリジナル部品が入手できない事を報告して比較的音質が近いであろうVishayのコンデンサーを使い修理して良いか了解を取りVishayコンデンサーを調達した。
約1週間ぐらいで全ての値が揃ったのでプリント基板の取り出しにかかったが高級高額商品は分解するだけでも面倒だ、分解順番を間違うとスムースに目的に行きつかなくなる。
使ってある無鉛ハンダは溶け難くバキュームでは吸い取れない、無理するとパターンを破損してしまうのでバキュームは使わずハンダ小手温度を最高にしてコンデンサーを左右に揺すりながら(ア~面倒くせーとブツブツ言いながら)取り外しました。
最初にノイズが出ているchから交換して最後の2個目で液漏れコンデンサーに当たった、よく見たらパターンも溶けて無くなっている、写真でも分かるように高額商品は見た目が大事なので左右独立してて更に左右対称に作ってあるので反対chのパターンとは違っているので見比べても溶けて無くなったのがどこに接続されているかは判断できない。
近辺の部品を両chとも外してテスターで追いかけながらなんとかパターンを作り直した、この時点で通電して確認できれば簡単だが分解したシャシー・枠・フロントパネルなどを全て元に組み直さないと通電点検できない。又もやブツブツ
ノイズは出ない・オシロの波形も奇麗・ミリバルの針も変な振りをしていない・パターンの書き直しは間違っていなかったようだ、心配したトランジスタも大丈夫なようなので一安心した所でもう一度残りのchのコンデンサーを交換すると思ったら力が抜けて来たので早かったが帰宅準備し途中の公園の中にあるバルでチョットだけビールを頂き帰った、明日の事は考えないこれが個人自営業の特権ダ~。
事前に判明していたフロントパネルのセレクタースイッチやプロテクターリレーが接触不良のためセレクターはオリジナル部品で交換しリレーは見つからなかったので接点修正し全てのデカップリングコンデンサーも交換しました、ついでにハンダ不良個所も拡大鏡を使い点検しました。
全て組み上げデジアンプ2台とフルレンジ2Setを使い音出し点検をしながら1日中音楽を聴いていました、PPCのBWT(フルレンジ)はそのままスルーでウーハーをチューニングしているように聴こえます特に低域の伸びは今まで聴こえなかった領域まで伸びています、本来のスピーカーで聴いてみたい気がしました。
修理品を引き取って頂いた翌日にお客様より電話連絡をいただきました、ノイズも無く低域も奇麗にスムースに繋がりとても楽しく音楽を堪能しているとの事です、その言葉がオーディオ電気修理者には仕事の励みになり大変嬉しい瞬間です。